自分を責めてしまう理由|失敗や後悔から気持ちを切り替えるための考え方

「あんなこと言わなければよかった」、「どうしてあのとき、もっと考えなかったんだろう」、「自分のせいだ」・・・

失敗したことや後悔していることを思い出して、何度も自分を責めてしまうことはありませんか?

仕事でミスをした、誰かに余計なことを言った、大切なことを忘れた、もっと早く行動すればよかった、別の選択をすればよかった・・・

出来事そのものは終わっているのに、頭の中では何度もその場面へ戻ってしまう。

そして、「あのとき失敗した」だったはずの話が、いつの間にか、「だから私はダメなんだ」に変わってしまうことがあります。

失敗を振り返ることは必要です。

自分に責任があるなら、謝ることや修正することも必要です。

でも、反省することと、自分を責め続けることは同じではありません。

この記事では、「自分を責めないようにしよう」と無理に気持ちを切り替えるのではなく、「この出来事について、今の自分にできることはまだ残っている?」というところから整理していきます。

「自分を責める」と「反省する」は何が違う?

失敗したあと、「反省しなければ」と思うことがあります。

反省すること自体は悪いことではありません。

問題があったなら・・・

何が起きたのか、なぜ起きたのか、今できることはあるか、次はどうするか。

を考えることには意味があります。

たとえば、仕事で連絡を忘れたなら、「連絡を忘れた」、「相手に謝ろう」、「次から予定表に入れよう」と考える。

これらには、次に行う行動が含まれています。

一方・・・

「なんで自分はこんなこともできないんだ」、「本当にダメだ」、「いつもこうだ」、「自分なんて信用されなくて当然だ」と考え続けても、次に何をすればよいのかはあまり見えてきません。

そこで、一つ目の目安です。

「今考えていることで、次にすることが見えてきている?」

見えてきているなら、反省や問題解決につながっているかもしれません。

同じところをぐるぐる回っているだけなら、反省というより、自分を責め続ける時間になっているかもしれません。

まず「何が起きたのか」まで戻ってみる

自分を責めているときは、出来事が大きくなっていることがあります。

たとえば、「会議で質問に答えられなかった」という出来事があったとします。

そこから、

「ちゃんと答えられなかった」→「勉強不足だった」→「仕事ができないと思われた」→「自分は能力がない」

と話が広がっていきます。

でも、実際に確認できる出来事は、「会議で一つの質問に、その場で答えられなかった」です。

そこで、「実際に起きたことは何?」まで一度戻ってみましょう。

「失敗した」ではなく、

何を間違えた?、何を言った?、何を忘れた?、何ができなかった?と具体的にします。

出来事を小さくするためではありません。

出来事と、自分についての評価を分けるためです。

「私は失敗した」が「私はダメだ」に変わっていないか

ここは、自分を責めるときに見ておきたいところです。

「私は失敗した」と、「私は失敗する人間だ」は違います。

「約束を忘れた」と、「私は信用できない人間だ」も違います。

「余計なことを言った」と、「私は人付き合いが下手だ」も同じではありません。

一つの出来事から、自分全体へ評価を広げると、

何を反省すればよいのか分からなくなります。

「連絡を忘れた」なら、連絡方法を見直せます。

でも、「自分はダメだ」となると、直す対象が自分全部になってしまいます。

そんなときは、「私はダメだ」ではなく、「今回何がまずかった?」と言い直してみましょう。

人ではなく、出来事へ戻します。

本当に自分だけの責任だったのか

失敗すると、「全部自分のせいだ」と思うことがあります。

でも、出来事には複数の要因が関係している場合があります。

自分の確認不足、説明不足、時間が足りなかった、情報が十分ではなかった、仕事量が多かった、相手との認識が違っていた、予定そのものに無理があった、予想できないことが起きた。

もちろん、自分に責任がある部分まで、「環境のせい」にする必要はありません。

逆に、自分の責任ではない部分まで引き受ける必要もありません。

紙に書くなら、自分が変えられたことと、自分だけでは変えられなかったこと、に分けてみると分かりやすくなります。

責任をゼロか100かで決めないことです。

「今だから分かること」で、過去の自分を裁いていないか

後悔していると、「あのとき、こうすればよかった」と思います。

でも、その答えは、結果を知った今だから見えていることがあります。

あのときは結果を知らなかった、情報が足りなかった、時間がなかった、別の結果になると思っていた、その時点では、それが一番よいと思って選んだ、ということもあります。

そこで、「あのときの自分は、今の自分と同じ情報を持っていた?」と考えてみましょう。

もちろん、「あのときも分かっていたのに、やらなかった」という場合もあります。

それなら、「なぜできなかった?」を考えます。

疲れていた、面倒で後回しにした、怖くて確認できなかった、忘れていた、判断を誤った。

そこまで具体的になれば、次の対策を考えられます。

大切なのは、今持っている情報だけを使って、過去の自分を裁かないことです。

「別の選択なら絶対うまくいった」と決めていませんか?

後悔していると、「あっちを選んでいればよかった」と思います。

転職しなければよかった、あの人と付き合わなければよかった、あのとき断ればよかった、もっと早く始めればよかった。、別の選択のほうがよかった場合もあります。

ただし、選ばなかった道の結果は分かりません。

転職しなかったら別の問題が起きていたかもしれない。

断ったら別の後悔が残ったかもしれない。

早く始めても、思った結果にならなかったかもしれない。

だから、「別の選択なら絶対うまくいった」ではなく、「今の自分は、この経験から何を次に持っていける?」と考えてみましょう。

過去の選択を正解にすることはできなくても、そこから次の選び方を変えることはできます。

「あのときの自分」に、今なら何を教える?

後悔している出来事を、

ただ何度も思い出すのではなく、少し角度を変えてみます。

もし、あのときの自分が目の前にいたら、今の自分は何を教えるでしょうか。

「一人で決めずに相談したほうがいい」、「その場ですぐ返事しなくていい」、「確認してから送ったほうがいい」、「疲れているときは、大きな判断を急がないほうがいい」、「相手の気持ちは想像だけで決めないほうがいい」、そんな言葉が出てきたなら、それは単なる後悔ではなく、次に使える情報になっています。

後悔をなくすことはできなくても、後悔から持って帰るものを選ぶことはできます。

謝る必要があるなら、責め続けるより行動する

自分の言動で誰かを傷つけた、迷惑をかけた、約束を破った。

そんな場合には、「自分を責めないでいい」だけでは済まないこともあります。

必要なら謝る、訂正する、損失があれば対応する、今後の方法を変える。

責任を取るというのは、自分を長く苦しめることではなく、必要な行動をすることでもあります。

「申し訳なかった」と思う気持ちはあってもよいのです。

ただ、自分を何日も責め続けることが、相手への償いになるとは限りません。

そこで、「今できる対応は何?」と考えてみましょう。

できることがあるなら行動する。

できることを終えたなら、次は同じことを減らすための工夫へ移ります。

何度考えても答えが同じなら、反省会を終えてもいい

失敗した夜、「あれが悪かった」、「次はこうしよう」と考えた。

翌朝も、「あれが悪かった」、「次はこうしよう」と考えた。

昼にもまた同じことを考える。

ここまで来たら、新しい答えが出ているでしょうか?

そこで使える質問があります。

「今このことを考えて、新しい情報は増えた?」

増えたなら、考える意味があるかもしれません。

何も増えていないなら、反省会が同じ場所を回っている、可能性があります。

「考えないようにしよう」と無理に止める必要はありません。

また思い出したら、「これはもう考えた」、「次にすることも決めた」と確認して、今していることへ注意を戻します。

反省には終わりがあってもよいのです。

頭から離れないときは、紙に「結論」を残してみる

同じ失敗を何度も考えてしまうなら、頭の中だけで整理しようとせず、書いてみる方法があります。

たとえば・・・

起きたこと
会議の時間を間違えた。

自分に責任があること
予定表への入力を確認しなかった。

自分だけではどうにもできなかったこと
直前に時間変更の連絡があった。

今できること
関係者に謝る。

次から変えること
変更連絡を受けたら、その場で予定表を書き換える。

ここまで考えたら
今日は終了。

この最後の、「ここまで考えたら終了」も大切です。

反省を終える条件を決めておくのです。

NCNPの認知行動療法資料でも、つらいときには状況・気分・頭に浮かんだ考えなどを書き出し、考えを整理して別の見方を検討する方法が紹介されています。

「同じことを繰り返さない」が厳しすぎる目標になることもある

反省すると、「もう二度と同じ失敗をしない」と思います。

それが役立つ場合もあります。

でも、人は似た失敗をすることがあります。

忘れる、判断を間違える、感情的になる、予定を詰めすぎる。

だから、「二度と失敗しない」だけを目標にすると、次の失敗でまた自分を強く責めることがあります。

そこで、「絶対に繰り返さない」だけではなく、「起こりにくくするには何を変える?」と考えてみましょう。

確認方法を変える、予定を減らす、メモする、すぐ返事しない、人に確認してもらう、休んでから判断する。

失敗をゼロにするより、失敗しにくい仕組みを一つ作る、そのほうが具体的です。

「自分に優しい言葉」を無理に言わなくてもいい

自分を責めているとき、「自分に優しくしましょう」と言われることがあります。

でも、「私は悪くない」、「大丈夫」、「よく頑張った」と自分に言っても、いや、自分が悪かったんだから」と思うこともあるでしょう。

そんなときは、無理に褒めなくて構いません。

代わりに、事実に近い言葉を使ってみます。

「今回は確認不足だった」、「失敗したのは事実。でも、今できる対応はした」、「次から確認方法を変える」、「後悔している。でも、過去には戻れない」、「この出来事と、自分全部の価値は別」、これは自分を甘やかすことではありません。

必要以上に話を大きくしないための言葉です。

「自分を許さなきゃ」と急がなくてもいい

大きな後悔があると、「自分を許したほうがいい」と言われても、すぐにはそう思えないことがあります。

無理に許そうとすると、「まだ許せない自分はダメだ」と、さらに自分を責めることにもなりかねません。

だから、今すぐ自分を許せなくても構いません。

まず、起きたことを整理する、必要な対応をする、次に変えることを決める。、同じ反省を繰り返していることに気づく、そして日常へ戻る。

「許せたから前へ進む」のではなく、許せない気持ちが少し残っていても日常へ戻っていく。

そんな進み方も、時と場合によっては必要です。

「忘れること」と「切り替えること」は違う

失敗や後悔から気持ちを切り替えるというと、「忘れなければいけない」と思うことがあります。

でも、大切な失敗ほど忘れないこともあります。

思い出すたびに少し胸が痛む出来事もあります。

目指すのは、思い出さなくなることだけではありません。

思い出しても、「あのときは失敗した」、「でも、必要な対応はした」、「そこから学んだこともある」、「今は今のことをしよう」と、日常へ戻れるようになる。

つまり、記憶を消すのではなく、その記憶に日々の生活を持っていかれなくなることです。

人から責められた言葉が、自分の中に残っていることもある

自分を責める言葉が、本当に自分だけから生まれたものとは限りません。

「なんでこんなこともできないの」、「普通はできるでしょ」、「お前はいつもそうだ」・・・

過去に誰かから繰り返し言われた言葉が、いつの間にか自分の中の言葉になっていることもあります。

失敗した瞬間、誰かに言われなくても、自分で同じ言葉を自分に向ける。

もし心当たりがあるなら、「これは今の自分の判断? それとも、昔から聞いてきた言葉?」と考えてみてもよいでしょう。

過去に言われた言葉が、そのまま現在の自分を評価する基準になる必要はありません。

自分を責めることに「役割」がある場合もある

少し意外かもしれませんが・・・

自分を責め続けることで、「ちゃんと反省している」、「もう同じ失敗をしないようにしている」、「自分を甘やかしていない」、という感覚を保っている場合もあります。

つまり、自分を責めることが、反省や責任感の証明のようになっている、ことがあります。

でも、「自分を苦しめた時間の長さ」と、「きちんと責任を取ったかどうか」は同じではありません。

一時間責めたら反省、三日責めたら深い反省、一か月責めたらもっと誠実、というものではありません。

見るべきなのは、「必要なことをした?」です。

謝った、直した、相談した、次の方法を決めた。

そこまでできたなら、自分を責め続けなくても大丈夫です。

何でも自分のせいにしてしまうときは、責任の範囲を確認する

人間関係で問題が起きた、仕事がうまくいかなかった、家族が不機嫌だった。

すると、「自分が悪かったのかな」と考える。

もちろん、自分の言動を振り返ることは必要です。

でも、他人の機嫌、他人の判断、他人の行動、職場全体の問題、予測できなかった出来事、まで、自分一人で背負うことはできません。

そんなときは、「この問題の中で、私が責任を持てる範囲はどこまで?」と線を引いてみましょう。

自分にできることには対応する。

自分だけでは変えられないことまで、自分の責任にしない。

責任を取ることと、すべてを背負うことは違います。

自分を責める状態が続いているなら、ほかの変化も確認しよう

失敗した直後に、「自分が悪かった」と落ち込むことはあります。

ただ、小さなことでも強く自分を責めるようになった。

何をしても「自分はダメだ」と感じる、強い罪悪感が続く、以前楽しめていたことが楽しめない、気分の落ち込みが続いている、眠れない、または眠りすぎる、食欲が変わった、疲れが強い、集中しにくい、といった変化も重なっているなら、単に「考え方の癖」と決めないことが大切です。

厚生労働省「こころの耳」でも、ストレスが大きく長く続くことで心身の不調につながることがあり、自分の状態に気づき、必要に応じて支援を受けることが大切とされています。

自分を責めることがつらくて抜け出せないときは相談を

「自分を責めてしまう」ということだけで、病気かどうかを判断することはできません。

ただ、自分を責める考えが何時間も頭から離れない、強い罪悪感や自己否定が続いている、気分の落ち込みが続いている、仕事や家事が手につかない、眠れない、食べられないなど心身にも変化が出てきた、人との関わりを避けるようになった。

という場合には、一人で整理し続けず、医療機関や専門家へ相談することも考えてみてください。

「こころの耳」には、働く人やその家族を対象に、電話・SNS・メールで利用できる相談窓口もあります。

相談するときには、「失敗したことを何度も思い出して、自分を責めるのが止まらない」ことを、素直に伝えてればよいです。

まとめ|反省が終わったら、自分を責める時間まで続けなくていい

失敗した、後悔している、自分にも責任があった・・・

そんなとき、「気にしない」では済まないことがあります。

だから、必要なことはきちんと振り返ります。

何が起きた?自分に責任があるのはどこ?今できることはある?次に変えられることは何?、ここまで考えたら、もう一つ聞いてみましょう。

「今これ以上、自分を責めることで何か新しいことが分かる?」

まだ必要な対応があるなら、行動をする。

新しい気づきがあるなら、考えてみる。

でも、必要な対応をした、次に変えることも決めた、何度考えても同じ結論になる。

そこまで来たなら、反省は終わってもいい。

失敗をなかったことにする必要はありません。

自分を無理に許す必要もありません。

忘れる必要もありません。

ただ、失敗した出来事と、自分という人間全部を同じものにしない。

そして・・・

変えられることは次へ持っていく。
変えられないことは、今日一日まで一緒に持っていかない。

失敗や後悔を思い出したとき、「どうしてあんなことをしたんだろう」だけではなく、「この出来事から、私は何を次へ持っていく?」と問い直してみてください。

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