
夜中にふと目が覚める。
時計を見ると、まだ2時・・・
「まだこんな時間か」と思いながら目を閉じるけれど、なかなか眠れない。
そのうち、「明日も仕事なのに」、「あと何時間眠れる?」、「また目が覚めた」と気になり始める・・・
そして、目が覚めたことよりも、「このまま眠れなかったらどうしよう」という焦りのほうが大きくなってくる。
そんな夜はありませんか?
夜中に目が覚めることを「中途覚醒」といいます。
ただ、夜中に一度目が覚めたというだけで、すぐに病気だと考える必要はありません。
睡眠は朝までまったく同じ深さで続いているわけではなく、年齢によって睡眠の状態も変化します。
大切なのは、「一度でも目が覚めたか」だけではなく、そのあと眠れない状態が続いているか、日中の生活に影響しているか、を見ていくことです。
この記事では、夜中に目が覚める理由を一つに決めつけず、「目が覚めたあと、どう過ごせばよいのか」というところから考えていきます。
夜中に目が覚める「中途覚醒」とは?
眠りについたあと、夜中に目が覚めることを中途覚醒といいます。
一度目が覚めても、また眠れて、翌日の生活にも特に影響がないこともあります。
一方で、何度も目が覚める、一度目が覚めると長く眠れない、目が覚めるたびに時計が気になる、翌日に強い眠気や疲れが残る、という状態が続くこともあります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠の問題は「何時間眠ったか」だけではなく、睡眠によって休養がとれたと感じられるか、日中の生活に影響していないかなども含めて考えることが大切とされています。
ですから、「夜中に目が覚めた=睡眠に問題がある」とすぐに判断するのではなく、その後どうなっているのかまでを見てみましょう。
年齢によって眠り方は変わってくる
以前は朝まで眠れていたのに、最近は夜中に目が覚める。
すると、「自分の睡眠がおかしくなったのかな」と心配になるかもしれません。
ただ、睡眠の状態は年齢とともに変化します。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人後は年齢とともに実際に眠れる時間が徐々に短くなる傾向があり、高齢になるにつれて早寝・早起きの傾向も強くなることが示されています。
また、必要な睡眠時間以上に長く寝床で過ごそうとすると・・・
寝つくまで時間がかかる、途中で目が覚める時間や回数が増える、熟睡した感じが得にくくなる、といったことが起こる場合があります。
だから、「若いころのように朝まで一度も目を覚まさず眠らなければ」だけを目標にしないことも大切です。
意識するのは、「夜中に目が覚めたか」だけではなく、「今の睡眠で、日中の生活にどのくらの不都合が出ているか?」ということです。
目が覚めた瞬間に時計を見ていませんか?
夜中に目が覚める → まず時計を見る → 「2時17分」 → もう一度目を閉じる → なかなか眠れない → また時計を見る → 「2時46分」このようなルーテーィンになる・・・
すると、「30分も眠れていない」、「あと4時間しかない」、「明日は絶対つらい」、と計算が始まります。
時計を見ること自体が悪いわけではありません。
ただ、時計を見るたびに焦りが強くなる人にとっては、時間の確認が新しい心配を作ることがあります。
心当たりがあるなら、目が覚めるたびに時刻を確認しなくてもよい環境にしてみましょう。
「何時間眠れなかったか」を夜中に正確に記録し続ける必要はありません。
「また眠らなきゃ」と頑張り始めていないか

目が覚めると、「早くもう一度眠らなきゃ」と思います。
そして、目を閉じる、力を抜こうとする、寝返りを打つ、呼吸を整える、「何も考えないようにしよう」とする、それでも眠れない・・・
すると今度は、「どうして眠れないんだろう」と焦ります。
ここで起きていることは、眠ることが新しい課題になっている状態です。
眠りは、「今から眠ろう」と決めれば、そのとおり実行できるものではありません。
だから、目が覚めたあとに、「すぐ眠らなければダメ」と考えないことも大切です。
今すぐ眠ることより、眠気が戻ってくるまで、焦りを大きくしないこと、を考えてみましょう。
眠れないまま寝床で長く粘らない
目が覚めてから、「眠らなきゃ」と思いながら長く寝床にいる。
その間ずっと、時計、明日の予定、睡眠時間、眠れない理由、を考えている。
こうした状態が続いているなら、一度寝床を離れてみる方法があります。
明るすぎない場所へ移動して静かに過ごす・・・
紙の本を少し読んだり、落ち着く音楽を聴くのもよいでしょう。
刺激の強いことはしないようにしましょう。
そして、眠気を感じたら寝床へ戻ります。
ここで大切なのは、「起きたついでに何かしよう」と活動を始めないこと。
仕事をや家事をしたり、メールを確認する、SNSを見る、という方向ではなく、眠気が戻るまで静かに過ごすために寝床を離れます。
「眠れないのに寝床で頑張り続ける」という流れを一度切るためです。
目が覚めた理由を、夜中に全部解明しなくてもいい
夜中に目が覚めると、「なぜ?」と考えたくなります。
ストレスかな、年齢かな、昼寝したからかな、夕方のコーヒーかな、病気かな、考えごとかな。
でも、夜中の2時や3時に原因を探し始めても、答えが出るとは限りません。
むしろ、検索する、時計を見る、体の状態を何度も確認する、眠れない理由を考え続ける、ということが、新しい活動になってしまうことがあります。
その夜は、「原因を調べるのは明日にする」としておきましょう。
夜中にすることは、原因究明ではなく、眠気が戻ってくるまで静かに過ごすことです。
トイレで目が覚めるなら「眠れない」だけで考えない
夜中に尿意で目が覚める人もいます。
一度だけなら特に困らないこともありますが、何度もトイレへ行くことで睡眠が細切れになる場合があります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、夜間頻尿は中途覚醒を増やす要因の一つとして挙げられています。
だから、「自分は眠りが浅いから」だけで済ませず、「何がきっかけで目が覚めているのか?」を昼間に振り返ってみましょう。
尿意なのか、暑さ・寒さなのか、音なのか、痛みやかゆみなのか、夢なのか、理由が分からず目が覚めるのか。
きっかけが分かれば、睡眠そのものではなく、別のところを見直したほうがよい場合があります。
夜間の排尿回数が多い、急に増えたなど気になる変化がある場合には、医療機関へ相談することも考えてください。
お酒を「もう一度眠るため」に使わない
「夜中に目が覚めるから、寝る前に少し飲もう」
と思うことがあるかもしれません。
お酒を飲むと眠くなる人もいます。
しかし、アルコールは睡眠の後半に影響し、中途覚醒を増やすことがあります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、過度の飲酒や「寝酒」は、入眠困難や中途覚醒を引き起こし、睡眠による休養感を低下させる要因として注意されています。
そのため、眠るために飲酒するという使い方は避けたほうがよいでしょう。
「飲めば寝つけるから大丈夫」だけでなく、夜中や翌朝まで含めて睡眠がどうなっているか、を見ることが大切です。
カフェインは「寝る直前だけ」を見ない

コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンク、などにはカフェインが含まれています。
「寝る直前には飲んでいないから関係ない」と思うかもしれませんが、カフェインの影響の受け方には個人差があります。
夜中に目が覚めることが続いているなら・・・
何時ごろまでカフェインをとっているか、一日にどのくらい飲んでいるか、を一度振り返ってみてもよいでしょう。
いきなり、「今日からコーヒー禁止」と厳しいルールを作る必要はありません。
まずは、自分の睡眠と摂取する時間に関係がありそうか、を見ていきます。
昼寝や「早く寝て取り戻そう」が影響することもある
昨夜眠れなかった、だから今日は長く昼寝する、今夜は早く寝床に入る、少しでも長く寝ようとする・・・
これは自然に考えやすいことです。
ただ、必要以上に長く寝床で過ごすことが、中途覚醒を増やす場合もあります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、身体が必要とする以上に長く眠ろうとして寝床で過ごすと、途中で目が覚める時間や回数が増えることが示されています。
ですから、一晩眠りにくかったからといって、翌日から寝床にいる時間を大きく増やしすぎない、こともポイントです。
「昨夜眠れなかった分を、今夜全部取り戻そう」と睡眠まで頑張りすぎないようにしましょう。
「目が覚めたあと考えごとが始まる」なら少し分けて考える
夜中に目が覚めた。
その瞬間は特に不安ではなかった。
でも、「明日の仕事どうしよう」と思ったところから頭が動き始めた。
そして、昨日の会話を思い出した、将来の心配が出てきた。
こういう場合には、目が覚めた原因と、目が覚めたあと眠れなくなった原因が同じとは限りません。
たまたま目が覚めたあと、考えごとが始まったのかもしれません。
そんなときは、「この問題は今夜答えが出るのか?」、「明日考えらればよいのか?」と分けてみます。
夜中に考えごとが止まらなくなることが中心なら・・・
「考えすぎて眠れない理由|頭が休まらない夜に試したい対処法」を参考にしてみるのも、自分の状態に合っているかもしれません。
「夜中に目が覚める=ストレス」と決めつけない
ストレスや不安が睡眠に影響することはあります。
ただし、夜中に目が覚める原因をすべてストレスに結びつけることはできません。
睡眠環境、生活リズム、飲酒、カフェインなどの嗜好品、夜間頻尿、痛みやかゆみ、服用している薬、睡眠障害、など、さまざまな要因が関係する場合があります。
「最近ストレスがあるから、そのせいだろう」と思っていたとしても、ほかに気になる変化がないか、も確認しておきましょう。
夜中に目が覚める状態が続くなら相談を

いびきや呼吸停止を指摘されているなら要注意
夜中に何度も目が覚める原因の一つに、閉塞性睡眠時無呼吸があります。
睡眠中に上気道が繰り返し閉塞することで呼吸に問題が起こり、その後に覚醒反応が起こるため、中途覚醒につながることがあります。
本人は、「何度も目が覚める」、「朝すっきりしない」、「昼間眠い」、程度にしか感じていない場合もあります。
家族などから、大きないびきを指摘される、睡眠中に呼吸が止まっていると言われる、息苦しくなって目が覚める、日中の眠気が強い・・・
といったことがあるなら、「ただ眠りが浅いだけ」と考えず、医療機関へ相談してください。
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余談ですが、小生は訳のわからない昼間の眠気に襲われていましたが、ある日の昼寝中に家族から息が止まっていると指摘され、病院に行き、それからCPAPを使用しています。
脚の不快感や動きで眠りが妨げられていないか
睡眠の問題には、脚の症状が関係する場合もあります。
じっとしていると脚がむずむずする、動かしたくて仕方がない、夜になると不快感が強くなる。
といった症状がある場合には、むずむず脚症候群が関係するのかもしれません。また、睡眠中に脚などが繰り返し動く周期性四肢運動障害では、その動きによって中途覚醒が起こる場合もあるそうです。(小生は医者ではありません、詳細は医師に相談してください。)
厚生労働省の睡眠ガイドでも、こうした睡眠障害が中途覚醒や睡眠休養感の低下に関係することが紹介されています。
心当たりがある場合には、自己判断だけで済ませず医療機関へ相談しましょう。
薬や身体の症状が関係することもある
眠りに影響するのは、こころの状態だけではありません。
痛み、かゆみ、咳、息苦しさ、頻尿、胃腸の不快感、などで目が覚めることもあります。
また、服用している薬が睡眠に影響する場合もあるかもしれません。
最近になって中途覚醒が増えた場合には、「眠れない」以外に何か変わったことはないか、を振り返ってみましょう。
最近変わったことなどがあれば、受診して医師に伝えてください。
処方薬については、自己判断で中止・増減せず、医師や薬剤師へ相談しましょう。
一晩の睡眠だけで採点しない
夜中に何度も目が覚めると、朝起きた瞬間、「昨日は全然ダメだった」と思うことがあります。
でも、睡眠は毎晩まったく同じではありません。
よく眠れる夜もあれば、眠りにくい夜もあります。
そこで、一晩ごとに、「成功」「失敗」と採点するより、数日からしばらくの流れと、日中への影響を見てみましょう。
いつから増えた?
週にどのくらいある?
何がきっかけで目が覚める?
翌日はどのくらい眠い?
生活にどんな影響がある?
こうして見ていくと、医療機関へ相談するときにも状況を伝えやすくなります。
「朝まで一度も目が覚めない」を目標にしなくてもいい
中途覚醒が気になると、「朝まで一度も起きずに眠りたい」と思います。
でも、一度目が覚めたら失敗、という目標にすると、目が覚めた瞬間から焦りが始まります。
大切なのは、一度も覚醒しないことだけではありません。
目が覚めても必要以上に焦らない、眠気が戻れば寝床へ戻る、翌日の生活に大きな影響が出ていないか、ということも含めて考えます。
目標を、「朝まで一度も起きない」から、「目が覚めても、その時間を必要以上に大きな問題にしない」、へ少し変えてみてもよいでしょう。
まとめ|目が覚めたことより「そのあとどうするか」を考えてみよう
夜中に目が覚めると、「また起きてしまった」、「今日はもう眠れないかも」、「明日は大丈夫かな」、と心配になることがあります。
でも、夜中に目が覚めたことと、そのあと長く眠れなくなることは、分けて考えることができます。
まず、時計を何度も確認しない、「早く眠らなきゃ」と頑張りすぎない、眠れないまま長く寝床で粘らない、眠気が戻るまで静かに過ごす。
原因探しは夜中ではなく、翌日にする。
そして昼間になったら・・・
何がきっかけで目が覚めた?
最近いつから増えた?
飲酒やカフェインはどうだった?
トイレ、痛み、かゆみなどはなかった?
いびきや呼吸について指摘されていない?
日中の生活に影響している?
と振り返ってみます。
原因を、「ストレス」、「年齢」、「考えすぎ」のどれか一つに決めつけなくても構いません。
目が覚めた夜に大切なのは・・・
「どうして起きたんだろう?」を夜中に解決することではなく、
「眠気が戻るまで、どうすれば焦らず過ごせる?」と考えること。
そして、同じ状態が続くなら、「ただ眠りが浅いだけ」と我慢せず、原因を確認すること。
夜中に目が覚めたからといって、その夜全部が失敗になったわけではありません。
目が覚めたら、「起きちゃった。さて、ここからどう過ごそうか」くらいのところから始めてみてください。