
「もう少しだけ頑張ろう」、「これくらいで休むのは早い」、「みんなやっているんだから、自分もやらなきゃ」そう思って動き続けていたら、気づいたときには疲れ切っていた。
そんなことはありませんか。
頑張ること自体が悪いわけではありません。
仕事を終わらせる、家事をする、家族のことを考える、誰かとの約束を守る。
自分で決めた目標に取り組む。
頑張ることで前へ進めることはたくさんあります。
でも問題になるのは、疲れていることに気づいても、頑張る量を減らせなくなっているときです。
「今日はここまで」、「これは明日にしよう」、「今は休もう」そう判断できず、いつも「もう少し」を繰り返していないでしょうか。
頑張りすぎてしまうときに必要なのは、「もっと上手に休める人になろう」と新しい努力を始めることではありません。
まず、「私は、どこで『もう十分』と言えなくなっているんだろう?」と振り返ってみましょう。
「頑張ること」と「頑張りすぎること」は何が違う?
どこからが「頑張りすぎ」なのかは、単純に時間だけでは決められません。
忙しい時期に、いつもより頑張ることもあります。
大切な目標のために、一時的に力を入れることもあります。
そこで意識しておきたいのは、頑張った量だけでなく、そのあと自分がどうなっているかです。
✔️ 仕事を終えても頭が休まらない。
✔️ 休日になっても何かしていないと落ち着かない。
✔️ 疲れているのに予定を減らせない。
✔️ 眠る時間を削ってしまう。
✔️ 体調が悪くても「まだ大丈夫」と続ける。
✔️ イライラすることが増えた。
✔️ 何もしたくなくなってきた。
こうした変化があるなら、「もっと頑張れるか」ではなく、「この頑張り方を続けて大丈夫?」と考えてみましょう。
「まだできる」を基準にしていませんか?
頑張りすぎているときには・・・
「まだ動ける」
「まだ仕事はできる」
「倒れたわけじゃない」
という理由で続けてしまうことがあります。
でも、「まだできる」と「続けても無理がない」は同じではありません。
たとえば、スマートフォンの充電が20%でも使うことはできます。
だからといって、「まだ使えるから充電しなくていい」を繰り返していたら、いずれ動かなくなります。
人の体や心をバッテリーと同じ仕組みだと考える必要はありませんが、「動けるかどうか」だけを休む基準にしない、という点では参考になります。
✔️ 疲れてきた。
✔️ 集中しにくくなった。
✔️ いつもより時間がかかる。
✔️ イライラしている。
✔️ 眠気が強い。
こうした変化も、「今日は少し負担を減らそう」と考える材料になります。
「終わるまで休めない」になっていませんか?
「これが終わったら休もう」と思っていたのに・・・
一つ終わる。
↓
次に気づく。
↓
それも終わらせる。
↓
また別のことが気になる。
こうして、いつまでたっても休めないことがあります。
仕事も家事も、探せばやることはいくらでも出てきます。
だから、「全部終わったら休む」では、休む時間が来ないことがあります。
そんなときは、「終わったら休む」ではなく、「ここまでやったら今日は終わり」を先に決めてみましょう。
18時になったら終える、今日はこの3つまで、残りは明日、30分やったら一度休憩するなど、終わりを仕事量ではなく、時間や数で決める方法もあります。
自分の中の「こうするべき」が増えていないか

頑張りすぎているとき、頭の中に・・・
「ちゃんとしなきゃ」、「迷惑をかけちゃいけない」、「途中でやめちゃいけない」、「頼まれたことには応えなきゃ」、「休むなら全部終わらせてから」といった考えが増えていることがあります。
こうした考えが役立つ場面もあります。
責任を果たすことも、約束を守ることも大切です。
でも・・・
いつでも、どんな状況でも守らなければならない決まりになっていないか、を見てみましょう。
たとえば、「頼まれたことには応えたい」を、「できる範囲なら応えたい」にする。
「今日中に全部終わらせる」を、「優先度の高いものから終わらせる」にする。
「迷惑をかけてはいけない」を、「できるだけ迷惑をかけないようにする。でも困ったときは助けを求める」にする。
全部反対の考え方に変える必要はありません。
少しだけ条件を加えてみる。
それだけで、考え方に余白ができます。
「できなかったこと」ばかり数えていませんか?
一日の終わりに・・・
「あれができなかった」、「これも残っている」、「もっとできたはず」と考えていると、いつまでも「まだ足りない」という感覚が残ります。
そんなときは、できなかったことだけでなく、今日すでにやったことも、確認してみましょう。
仕事へ行った、家事をした、連絡を返した、買い物をした、誰かの話を聞いた、病院へ行った、必要な手続きをした。
何も特別なことでなくて構いません。
目的は、「今日も私はすごい!」と無理に前向きになることではありません。
今日の負荷を正確に見ることです。
自分がやったことを数えず、残ったことだけを数えていたら、「まだ頑張りが足りない」という判断になりやすくなります。
頑張りすぎているときほど「優先順位」を減らしてみる
やることが10個あると、「全部大事」に見えることがあります。
でも、全部を同じ強さで頑張ろうとすると、負担は大きくなります。
そんなときは、今日やる必要があること、できればやりたいこと、明日以降でもいいこと、に分けてみましょう。
そして、「今日やる必要があること」も、本当に全部必要なのか確認します。
自分で決めた締め切り。
誰にも頼まれていないこと。
多少遅れても問題のないこと。
いつもの習慣だから続けているだけのこと。
などが混ざっている場合があります。
頑張る量を減らすには、「やり方」を工夫するだけでなく「やらないこと」を決めることも必要です。
休むことまで「ちゃんとやろう」としなくていい
頑張りすぎていると、休むことまで課題になってしまうことがあります。
「質の高い休息を取らなきゃ」、「休日を有意義に過ごさなきゃ」、「ストレス解消になることをしなきゃ」
これでは、休むことまで新しい仕事になってしまいます。
休み方に唯一の正解はありません。
横になる、ぼんやりする、好きな番組を見る、散歩する、音楽を聴く、何もしない・・・
人によって、落ち着きやすい過ごし方は違います。
NCNPのセルフヘルプでも、自分の日常の行動を振り返り、自分を力づける行動を見つけて計画する方法が紹介されています。
大切なのは、「正しく休むこと」より、「今の自分に何が必要かを見ること」です。
「休む」と「やめる」は同じではない

頑張り続けていると、「ここで休んだら、もう戻れなくなる気がする」
「一度休んだら負け」のように感じることがあります。
でも、今日休むことと、全部やめることは別です。
一旦休む、今日は早く終える、一つ予定を減らす、誰かに一部を頼む、期限を相談する。
こうした調整のやり方もあります。
続けるか、全部やめるか。
その二択にしなくても構いません。
「続けるために少し減らす」という選択もあります。
「自分でやったほうが早い」が増えていませんか?
仕事でも家庭でも、「説明するより自分でやったほうが早い」と思うことがあります。
実際、その場では早いこともあります。
でも、それが続くとどうなるのか?
自分に仕事が集まる。
↓
忙しくなる。
↓
人に頼む時間もなくなる。
↓
さらに自分でやる。
という流れになってしまうこともあります。
全部任せる必要はありません。
一部分だけ頼む、確認だけお願いする、期限を相談する、「ここまでお願いできますか」と範囲を決める。
頑張る量を減らす方法は、自分が速くなることだけではありません。
人に頼ることや、仕事そのものを減らすことも選択肢です。
頼まれると頑張りすぎてしまうなら
自分で仕事を増やしているわけではない。
でも、人から頼まれると断れず、結果的に抱えすぎてしまう。
そんな場合もあります。
そのときは、「頑張りすぎないようにしよう」だけでは変えにくいかもしれません。
必要なのは、頼まれた瞬間に引き受ける前に、自分の余裕を確認することです。
自分の予定、時間はあるか、やれるのか、すでに抱えていることはないか・・・
それを自分の中で確認してから返事をします。
「少し考えてから返事します」でも構いません。
頑張りすぎの原因が「頼まれごとを断れないこと」にあるなら、頑張り方よりも、引き受け方を見直したほうが役立つ場合があります。
「頑張っている自分」だけが自分の価値になっていないか

これは少し深いところです。
仕事ができた、人の役に立った、頼られた、目標を達成した。
こうした経験は、うれしいものです。
でも、「頑張れている自分なら大丈夫」
「役に立っている自分には価値がある」という感覚が強くなりすぎると・・・
休んでいる自分、できなかった自分、助けてもらう自分、失敗した自分、を受け入れにくくなることがあります。
もし、「何もしないと落ち着かない」、「休んでいると申し訳なくなる」、「できない自分が許せない」と感じるなら、単純に忙しいだけではなく、自分にどんな条件を求めているのか、を見てみるのもよいでしょう。
NCNPのセルフヘルプでは、自分の考えや行動のパターンである「心の法則」に気づくための方法も紹介されています。
ここで、「そんな考え方をやめなければ」とする必要はありません。
まず、「私は自分に、どんな条件をつけているんだろう?」と気づくところから始めます。
頑張りすぎていることに気づいたら「一つ減らす」
「頑張りすぎているかもしれない」と気づいたとき、生活全部を変えようとすると、それ自体が大仕事になります。
そこで、一つだけ減らしてみましょう。
今日やることを一つ明日に回す。
予定を一つ断る、家事を一つ簡単にする、帰宅後の仕事をやめる、30分早く終える、一人で抱えていることを一つ相談する、完璧に仕上げようとしているものを「ここまで」にする。
小さなことでも構いません。
目的は、「頑張らない人になること」ではありません。
必要なところでは頑張り、減らせるところでは減らせるようになることです。
「頑張らないと困る状況」そのものがある場合もある
ここは忘れたくないところです。
頑張りすぎを、すべて本人の考え方の問題にすることはできません。
人手が足りない、仕事量が多すぎる、家事や介護などを一人で抱えている、経済的な事情で休みにくい、職場で無理な要求をされている、助けを求めても協力してもらえない。
こうした環境では、「自分で頑張り方を変えればいい」だけでは解決できないことがあります。
その場合には・・・
仕事量について相談する、家族で役割を見直す、利用できる制度やサービスを調べる、職場の相談窓口を利用する、信頼できる人へ状況を伝えるなど、自分ではなく環境側へ働きかけることも必要です。
頑張りすぎてしまう状況まで、「自分が要領よくできないから」と全部引き受けないようにしましょう。
無理を続けて心や体に変化が出ているなら

頑張り続けているうちに、
以前より疲れやすくなった、眠れなくなった、朝起きるのがつらい、何もしたくなくなった、集中できなくなった、イライラが増えた、気分の落ち込みが続く、食欲が変わった。
といった変化が出ることがあります。
こうした変化が続いている場合には、
「少し休めば大丈夫」と自分だけで判断しないことも大切です。
厚生労働省「こころの耳」でも、心身の状態に意識を向け、必要に応じてセルフケアや相談につなげることが勧められています。
また、疲労や睡眠、食欲などの変化には身体的な原因が関係することもあります。
つらい状態が続いている、日常生活に影響している、自分では負担を減らせない。
という場合には、医療機関や専門家への相談も考えてみてください。
「もっと頑張ってから相談しよう」とする必要はありません。
「無理を続けていて、最近つらくなってきた」と、そのまま伝えて構いません。
まとめ|「もっと頑張れる?」ではなく「この頑張り方を続けて大丈夫?」と考えてみよう
頑張りすぎてしまうと、「もっと上手にやれば楽になる」、「自分がもう少し強ければ大丈夫」と思うことがあります。
でも、見直したいのは、自分の強さではなく、今の頑張り方です。
疲れていても「まだできる」を基準にしていないか。
🤔 全部終わるまで休めなくなっていないか。
🤔 「ちゃんとしなきゃ」が増えていないか。
🤔 できなかったことばかり数えていないか。
🤔 頼まれたことを全部引き受けていないか。
🤔 人に任せられることまで自分で抱えていないか。
そして、「私は、どこで『もう十分』と言えなくなっている?」と考えてみましょう。
見つかったら、一度に全部変えなくても構いません。
一つ減らす、一つ明日に回す、一つ人に頼む、一つ「ここまで」にする、必要なところでは頑張る。でも、必要のないところまで頑張り続けない。
目指すのは、頑張らない人になることではなく、自分で頑張る量を調整できるようになること。
「もっと頑張れる?」ではなく、
「この頑張り方を、このまま続けて大丈夫?」ときどき、そんなふうに自分へ聞いてみましょう。