
「あんなこと言わなければよかった」
「あの人の言葉は、どういう意味だったんだろう」
「もっと違う対応ができたんじゃないかな」
一度は考え終わったはずなのに、しばらくするとまた同じことを考えている。
🤔 食事をしているとき。
🤔 お風呂に入っているとき。
🤔 布団に入ったとき。
ふとした瞬間に、また頭の中へ戻ってくる。
そして・・・
「もう考えたくないのに、どうしてまた考えてしまうんだろう」と、今度は考え続けている自分まで嫌になってしまうことがあります。
過去を振り返ること自体は悪いことではありません。
振り返ることで、次に生かせることもあります。
ただ、同じ出来事を何度振り返っても新しい答えが見つからず、気持ちだけがつらくなっていくことがあります。
そんなときは・・・
「考えないようにしよう」と頑張るより、「私は今、また同じところに戻っているな」と気づくこと、から始めてみましょう。
この記事では、同じことを何度も考えてしまうときに起きていることと、頭から離れない考えとの付き合い方を紹介します。
「振り返ること」と「同じことを繰り返し考えること」は違う
たとえば、「あのとき言い方がきつかったな」と振り返って、「次からは一度落ち着いてから話そう」と決める。
これは、過去の出来事を次に生かすための振り返りです。
ところが・・・
「あんなこと言わなければよかった」
「嫌われたかもしれない」
「どうしてあんな言い方をしたんだろう」
「今ごろどう思われているんだろう」
と何度も考え続けても、過去に起きた出来事そのものは変わりません。
考えるたびに新しい発見があるわけでもない。
それなのに、また最初へ戻ってしまう。
そんなときは・・・
問題を解決するための振り返りから、同じ考えを繰り返す状態へ変わっているのかもしれません。
まずは、その違いに気づくことが大切です。
なぜ同じことが何度も頭に戻ってくるの?
「もう終わったことなのに」と思っていても、頭から離れないことがあります。
その理由は一つではありません。
納得できる答えを探し続けている
「あの人はなぜあんなことを言ったんだろう」
「自分の何が悪かったんだろう」
「本当はどうすればよかったんだろう」
答えが分かれば気持ちが落ち着くような気がして、何度も考えることがあります。
でも、相手の本当の気持ちや、過去に別の選択をした場合の結果など、いくら考えても確かめられないことがあります。
そんな問いに、「納得できるまで考えよう」とすると、終わりがなくなってしまいます。
「もう一度考えれば違う答えが見つかる」と感じる
一度考えて答えが出なかった。
それでも少し時間がたつと、「やっぱり何か見落としているんじゃないか」と、もう一度考えたくなることがあります。
でも・・・
同じ材料を使って、同じ問いについて、同じように考えているなら、何度繰り返しても同じ場所へ戻ることがあります。
そんなときには、「答えが見つからない」のではなく、「今ある情報では答えを出せないのかもしれない」という見方も必要です。
気分が落ち込んでいるときに繰り返しやすくなることもある
同じことを繰り返し考える状態は、気分が落ち込んでいるときなどにもみられることがあります。
ただし・・・
「同じことを考える=うつ病」ということではありません。
一つの状態だけから原因を決めることはできません。
最近・・・
🤔 気分が落ち込むことが増えた。
🤔 何をしても楽しめない。
🤔 眠れない。
🤔 何もしたくない。
🤔 集中しにくい。
といったほかの変化も起きていないか、生活全体を振り返ってみましょう。
同じことを考えていると気づいたら、最初にすること

また同じことを考えていると、「やめなきゃ」と思うかもしれません。
でも、まずやってみたいのは、考えを無理に止めることではありません。
「あ、またこのことを考えているな」と気づくことです。
たとえば・・・
「あの人の言葉について、また考えている」
「あの失敗をまた思い出している」
「また『嫌われたかもしれない』と考えている」
というように、少しだけ言葉にしてみます。
考えの中へ入り込んでいる状態から、「自分はいま何を考えているのか」を見る側へ少し移動するイメージです。
国立精神・神経医療研究センターでは、思考の内容そのものを変えるだけでなく、思考との向き合い方や距離の取り方に焦点を当てる心理療法についても紹介しています。
「もう考えたこと」と「まだ考える必要があること」を分ける
同じことが浮かんできたら、一度こう問いかけてみましょう。
「このことについて、まだ決めることは残っている?」
たとえば、「あの人に謝るかどうか決めていない」なら、まだ考える意味があります。
どう謝るか決めて、必要なら行動します。
一方、
すでに謝った、できる対応はした。、相手がどう思っているかは分からない、過去を変えることもできない。
という状態なら・・・
「これはもう考えることではなく、答えの出ないことを繰り返しているかもしれない」と気づくことができます。
「考えてはいけない」のではありません。
もう一度考えることで、何か新しく決められるのかを確認してみるのです。
頭から離れない考えを紙に書いてみる
同じ考えが何度も戻ってくるときは、頭の外へ出してみる方法もあります。
難しい日記を書く必要はありません。
たとえば・・・
出来事
今日、職場で説明を間違えた。
頭に浮かぶこと
「みんなに仕事ができないと思われたかもしれない」
分かっている事実
説明を一か所間違えた。あとで訂正した。
分からないこと
周りの人が自分をどう評価しているか。
今できること
次回は説明する内容を事前に確認する。
ここまで整理すると・・・
「仕事ができないと思われた」という考えの中に、実際に起きたことと、自分が想像していること、が混ざっていたと気づく場合があります。
NCNP(国立精神・神経医療研究センター)の認知行動療法でも、出来事、考え、気分、身体反応、行動などを分けて整理する方法や、頭に浮かんだ考えを現実的・柔軟に検討する方法が紹介されています。
「事実」と「想像」を少し分けてみる
同じことを何度も考えているときには、分からないことを、自分の想像で埋めている、場合があります。
たとえば・・・
「あの人の返事が短かった」これは事実です。
でも・・・
「怒っているに違いない」「嫌われたんだ」となると、これはまだ確認できていないことかもしれません。
そこで・・・
「私が確実に分かっているのはどこまで?」と考えてみます。
もちろん、何でも「気のせい」にすればいいわけではありません。
実際に確認したほうがよいことなら、確認する。
対応できることなら、対応する。
でも、確認できないことについて想像を重ね続けているなら、「ここから先は、今の私には分からない」と線を引いてみることも大切です。
また考えが戻ってきても「失敗」ではない

紙に書いた、気持ちを整理した。
「もう考えるのは終わり」と決めた。
それなのに、夜になったらまた思い出した。
こんなこともあります。
そこで・・・
「せっかく整理したのに意味がなかった」と思う必要はありません。
目標は、二度とその考えが浮かばないようにすることではありません。
また浮かんできたときに、「あ、また戻ってきた」と気づいて、毎回最初から考え直さないことです。
「これはさっき考えた」
「今できることは決めた」
「ここから先は分からない」
そう確認したら、目の前の生活へ戻ってみましょう。
頭の中から「今していること」へ戻る
同じことを考え続けているときには、頭の中の出来事へ注意が向き続けています。
そんなときは・・・
今飲んでいるお茶の味。
歩いているときの足の感覚。
聞こえている音。
料理をしている手の動き。
目の前の人との会話。
など、今していることへ注意を戻してみます。
これは、「嫌なことを忘れよう」ということではありません。
必要な振り返りをしたあとに、考えの中から、今の生活へ戻ってくるための切り替えです。
考えがまた浮かんだら、また戻る。
その繰り返しで構いません。
夜になると同じことを考えてしまうときは
昼間はそれほど気にならなかったのに、布団に入ると急に思い出す。
そんなこともあります。
静かになり、やることがなくなると、気になっていたことへ注意が向く場合があります。
そんなときに、「今夜中に答えを出そう」とすると、ますます頭が働いて眠れなくなることがあります。
夜に考えが始まったら、「これは今決める必要がある?」と確認してみましょう。
急がないことなら、「明日考える」とメモして、いったん区切ります。
もし考えすぎて眠れないことが続いているなら、睡眠そのものへの対処も必要になります。
同じことを何度も考えてしまう自分を責めない
「また考えてる」
「いつまで引きずってるんだろう」
「自分は気にしすぎだ」
そうやって自分を責めると、
今度は、「なぜ私はこんなに考えてしまうのか」についてまで考え始めてしまうことがあります。
すると・・・
出来事について考える。
↓
考えている自分について考える。
↓
そんな自分を責める。
という別の繰り返しが始まります。
同じことを考えていると気づいたら、
「またダメだった」ではなく、「またこの考えに戻ってきたな」くらいにしておきましょう。
気づけたこと自体が、考えとの距離を取る最初の一歩になります。
頭から離れない状態が続いてつらいときは相談を

同じことを何度も考えることは、それだけで病気というわけではありません。
ただし・・・
🤔 考えが長時間頭から離れない。
🤔 仕事や家事に集中できない。
🤔 考え続けて眠れない。
🤔 気分の落ち込みや不安が強くなっている。
🤔 同じことを何度も確認しないと落ち着かない。
🤔 安心するために同じ行動を繰り返してしまう。
🤔 生活への影響が大きくなっている。
といった状態が続いている場合には、一人で何とかしようとせず、専門家への相談を考えてみてください。
繰り返す考えには、不安や気分の落ち込みなど、さまざまなことが関係する場合があります。
また、繰り返し浮かぶ考えや確認行動などが強く、生活に支障が出ている場合には、専門的な支援が役立つこともあります。
原因を自分で決める必要はありません。
「同じことを考え続けてつらい」ということ自体を、そのまま相談して構いません。
まとめ|「また考えている」と気づいたら、そこから戻ってこよう
同じことを何度も考えてしまうと・・・
「早く忘れなければ」
「考えないようにしなければ」
と思うかもしれません。
でも、目標は、その考えを二度と頭に浮かばせないことではありません。
また浮かんできたら、「またこのことを考えているな」と気づく。
まだ決めることがあるなら、考える。
今できることがあるなら、一つ行動する。
もうできることをしたなら、そこで区切る。
分からないことなら、「ここから先は今の私には分からない」として、目の前の生活へ戻ってみる。
そして、また考えが戻ってきたら、また戻る。
一度できれいに切り替えられなくても構いません。
同じ考えに戻らないことを目指すのではなく、戻ってきても、そこからまた日常へ戻れるようになる。
頭から離れないことに疲れてしまったときは、そこから始めてみましょう。